●激走! ラストスパート!!!
izu@さんは、秘儀モータ復活の術を披露していた。極力タイムを落とさず、無駄なラインを描かずにモータを
いたわって走り、一時はチンチンになって香ばしいにほひを放っていた、スポ根モータ君を見事復活させた。
この走行が最後の激走をお膳立てした。
すぐ上のチームのトラボルタで棚ボルタラッキー5位が転がりこんだAORcは、izu@大将の2パック目にさらに
4位を狙うべくプッシュ開始の指示を出した。
「他人の不幸は蜜の味。さらに上位チームは超ハイペースで走っているので脱落の可能性も十分!
そうなると
3位入賞も夢じゃないぜ。けけけ」
取らぬタヌキの皮ジャンパーとはこの事だ。他人に起こるトラブルが自分に起こらぬとは誰が言えようか。
まったくおろかな胸算用だった。
突如晴天のヘキレキ。。。なんとAORcカーがコース端にうずくまっている!
ガーン。。。 チーム員に動揺と衝撃が!
izu@大将自らが操縦台から駆け下りクルマをピットへ運ぶ。 その間にドライバー交替してかつさんが準備する。
な、ぬわんと、、キングピンが脱落していた。。。。合掌
しかし目にもとまらぬ作業で無事復活コースイン。
この時点でまだマージンがあり5位を守っていた。が、6位がぐんぐんせまる。しかも7位ランチャも良いペースだ。
急げ!
しかし、ラジコンの神様はここでさらなる試練をお与えになった。
なんとクルマは動かなかった。。。万事休すか!?
おぐっちゃんは、急いで他人の不幸を願った自分を懺悔した。その間にizu@大将は現象を探り当てた。
なんとフロントバルクヘッドの下のビスが皆ゆるゆるで路面に干渉! 悲惨な状況だった。
レース直前にネジロック剤で固定したハズのビスが、、、
時間は無い、ここは応急処置で締め直しだけとした。あとは走り切れる事を祈るのみだった。
ここでアナウンスが聞こえた。「順位に変動があった模様です。AORc 6位に落ちて、、、
残りは9分」
最後の賭けに出た。
残りのバッテリで粋の良さそうなイーグルサンヨー2000をチョイスし交換した。あせりで手がふるえる。
「残り8分30秒」
モータのタレ具合からしてギリギリ走りきれると読んだ。5位のチームが先にタレるかバッテリ交換ピットイン
すれば十分勝機はある。幸い無交換のタイヤにもかかわらず、クルマの挙動はすこぶる安定していた。
あとはかつさんのアタックにすべてを賭けて祈る事にした。
GO!
勢い良く飛び出したAORcカーはまるでそれ自身が意志を持った生き物かのように、コースを駆け抜けた。
5位との差はわずか1周だった。勝てる。いけえー!!!
かつさんの走りは鬼神の走りだった。izu@大将のモータ復活秘儀とピットイン中のクールダウンが効いたのか
ストレートは当初の伸びを取り戻した。
こうなったら上位チームになりふりかまっていられなかった。というか、この時最も速かったのだった。
もはや誰も抜くことはできなかった。 丸々一周開いていた差はぐんぐん縮まった。
それは奇跡としかいいようの無い走りだった。スリルを通り越して一抹の恐怖さえもよぎるギリギリのライン
どりは、応援するAORcの全員の手を汗ばませた。
たまにコーナーのインに突き刺さるのだが何事もなかったかのように復活しプッシュし続ける。
「残り5分」
ついに前を行く黄色いスカイラインを射程内にとらえた。
しかし、スカイラインの走りも素晴らしいものだった。敵ながらあっぱれとはこのことだ。
プレッシャーにも全く動じず、そしてバッテリーがたれる気配すら感じない。ジモピーのラインどりは正確で狡猾
だった。
しかし、とうとう後ろから迫り来る火の玉のようなAORcに根負けしたか、他車とからんだ。
その横をかつさん操るTF3が猛然とすり抜けた。
やった! AORcピットから拍手と大歓声があがる。
凄いぜかつさん、もう男惚れ。ここまで魅せるとは、凄すぎるぅ!!!
あんたは男の中の男だあああああああ!!!!!!
インカムでかつさんにねぎらいと最大の賛辞を送る。
それにオヤジギャグで応えるかつさん。
この終盤、凄まじい集中力でシケインを直線的に抜けるかつさん
「残り3分」
バッテリーはまだまだ快調だ。念のためトミーが順位を確認しに走る。
かつさんはその後も手を緩めることなくプッシュしつづけていた。
その時、またしてもラジコンの神様は我々に試練をお与えになったのだ。。。。。。 アーメン
トミーがニコニコしながら言った。
「まだ6位でした。あと1周だったよーん」
その時は全員床に転げ落ちた。どひゃどひゃ 先ほど確認したタイミングが悪かったようだ。
すぐに立て直してまだ時間があることを確認し、インカムですまなそうに言った。
「かつさんごめん。あと一回抜いてくんないかなぁ?」
かつさんが操縦台でズッコける音がした。
これからまた一周かわすのは冷静に考えると不可能に見えた。
スカイラインは嫉妬させるほどの良い走りを見せていた。
かつさんが
「しょうがねえな」
と少し笑いながら言った、のがノイズ混じりのインカムからかすかに聞こえた。
ピットクルーが出来ることは応援することだけだった。普段は冷静なizu@大将も「いけえ!」
と叫んだ。おぐっちゃんは発狂していた(らしい サーキットのみんな、ごめんね)
トミーは「えらいハッスルしてまんな」とニコニコ笑っていた。
これは脚色でも大袈裟でもなく、信じ難い光景だった。
先ほどまでピットでその痛んだ体を横たえていたAORcのTF3はまさに水を得たシーモンキーのごとく
サーキットを疾走した。もはや、だれもかつさんの走りを止める事はできなかった。
トップ3に入るに十分な腕を持っていることは誰の目にも明らかだった。
「残り1分」
AORcの皆が奇跡を目撃しようとしていた。 ついに黄色いスカイラインをその手中に収めようとしていた。
インフィールドでぴったりとスカイラインの後につけるAORc。しかしスカイラインも最後の意地をかけて
インを締めて走行する。すさまじいバトルだった。両チームの声援が飛びまくる。
かつさんは残りの時間を計算し、最終コーナーで仕掛けた!
絡んだ。2台とも真横をむく。
どうなるAORc!
最初に立ち上がったのは、、、、
AORcだった!! やった!!
興奮は絶頂に達した。かつさん、あんたって奴は。。。。。
悠々とストレートを快走するAORc。スカイラインはもはや残り時間で逆転不可能な
距離にとりのこされていた。
こうなると一刻も早くチェッカーが出る事を祈るのみだった。カウントダウンは始まった。
劇的な逆的勝ちに酔いしれていた。
485周目のラインを踏んだ。
ドラマが起こったのはその時だった。
ここまで爆走を続けていたAORcカーが急激に力なく失速しはじめた。
バッテリーダウンだ。 信じたくない光景だった。
全く力を失ってコース外周をよろめくように走るTF3。
息を吹き返し猛然と迫り来るスカイライン。
先にラインを踏んだほうが勝ちだ。どうなる!
最後のストレートを、振り絞る力でチェッカーライン向けてAORcが来た。スピードは10Km/hに
満たなかった。が、まだマージンはある。
走れ! 走れええええ!! 走れーー!!! 走り切ってくれー!!!!!!!!
全員の祈りが通じたのかTF3はラインを超えた! わずかにスカイラインをかわした。
486周だった。
勝った
「残り15秒」
冷酷に響きわたるアナウンス。まだ時間があったのか。。。。。
AORcは既に周回する力などなく、ピットレーンに吸い込まれていった。
スカイラインは周回を続けた。
スカイラインがこの周回を周りきればAORcの負けだ。
周りきれなければAORcの勝ちだ。
スカイラインは、、、、
誇らしげにチェッカーラインを通過した。
そのすぐ直後「レース終了」のアナウンスが響きわたった。
負けた。。。。 劇的な幕切れだった。
AORcは最後の周回をすべくバッテリをチェンジし、チェッカーを再度踏んだ。
487周同一周回でわずかに及ばず6位だった。
戦いは、終わった。
2時間走りきったAORcカーは、「次もこのシャーシとボディで行くんだろ?」と語りかけているようだった。
●エピローグ●
記念撮影はスカイラインのチームの方にお願いしました。どひゃどひゃ
一位は549周、2位は542周 、3位は535周でした。1チームたりともリタイヤすることの無いハイレベルなレースでした。
事前のAORc仮想シミュレーションでは508周を予定していましたが、痛恨のトラブルで200秒近いロスがなければ
これに近い周回ができたと言えます。(勝負にニラレバは禁物なのですが。。)
上位には食い込めませんでしたが、ポテンシャル的にもそして実際の内容的にも決して恥ずかしくないゲームが
できたと自負しています。
急造かつ土壇場のメンバーチェンジがあったAORcとしては上出来すぎる内容でした。
何よりも全員が、誰に言われるわけでもなく自分の持ち分と課題を認識して自主的に活動し、チームとして立派に
機能し、そしてこれが一番大事なのですが、ワイワイと楽しめた事が本当になによりでした。
レースの後、今日一日ろくに食事もとっていなかった事を急に思い出し、レースの興奮を携えて近くのファミレスに
行って納会を開きました。
一番エネルギーを使ったかつさんだけが、ご飯を大盛りにしたのは言うまでもありません。
レースのこと、これまでの苦闘、AORcの由来、そもそもこのメンバーってどこで知り合ったんだっけ?
話はいろいろ及びました。
また、レース速報をその場で掲示板に書き込む頃には、いつものしょうもないオヤジギャグが復活していました。
話が途絶えた後、
今年のいろいろな活動や来年の抱負を胸に秘め、深夜の国道をそれぞれの家路へと散っていきました。
ファミレスにはAORcの三角柱を残して。。。。
完
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ここまで長々と読んで下さった方々、お疲れ様でした。
また掲示板上にて遠方より応援してくれたAORcメンバーの方々、とても力になりました。有り難うございます。
準備に尽力してくれたカメ林さん(次は一緒に出ようね)、ピンチヒッターとして重責を担ったとみながさん、
本耐久の一番の立役者であるかつよしさん、そして裏方に徹していただいたizu@さん、本当に有り難うござい
ました。
皆様の益々の発展をお祈り申し上げます。
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