【名  前】poku
  【タイトル】金融ビックバンについて
    07/16 01:00
                                                       konnet2@email.msn
  【メッセージ】
  金融ビックバンとは何なのでしょうか。教えて下さい。宜しく。 



  【名  前】万馬 券太郎
  【タイトル】re:(1)金融ビックバンについて
    07/16 23:46
                                                          bet@pbx.vip.co.jp

  【メッセージ】
  pokuさん、はじめまして。万馬 券太郎です。
  今はやりのビッグバンですね。話すべきことは多々あるのですが、あまりに範囲が広いので、
  とりあえず全体的構造のみにします。なるべく簡単になるよう努力はしてみますが、ちょっと
  分かりにくいかもしれません。よく分からないところはまた聞いてください。

  ニューヨークやロンドンに比べると、東京証券取引所はマイナーな存在です。
  この東京市場を、2001年までに世界三大市場の一つにしよう!というプロジェクトがビッグバン
  (正式名称:金融システム改革)です。
  キリンとアサヒがぶっちぎるビール業界において、サッポロのシェアを引き上げよう!といった
  感じですね。(個人的には黒ラベル好きですけど)

  いくつかの計画が具体的になされていますが、最も重要なのは、99年末までに実施される
  「株式売買委託手数料の自由化」です。今年は、このビッグイベントに向けて、色々な準備を
  しているところです。最近では、ドルをそのまま使える店が出てきたりしてますよね。
  これなんかも3月の外為法改正で出来るようになったことのひとつです。

  学校の試験問題の答えとしては、この辺まででいいと思います。
  と言っても、これだけじゃ何だか分からないので、もうちょっと説明しますね。

  株式売買委託手数料が自由化されると何が起こるのか?
  色々あるんですが、まず重要なことは、株式を販売する人(今は証券会社ですね)の
  儲けの構造が変わるということです。これまでの証券会社は、手数料で儲けているわけで、
  お客さんが得しようが損しようが、売ったり買ったりしてもらえば、自動的に儲かるように
  なっているわけです。JRAの控除システムに似ているかもしれません。

  今私たちは、郵便局に用事があるとき、自宅や会社の近所の郵便局に行きますよね。
  これはどこでもサービスと価格が一緒だからです。でも、携帯やPHSを買うときって、
  色々な条件でどこにするか迷いますよね。基本料は安いけど通話料は高いとか、
  安いけどつながらないとか、東京近郊ではいいけど地方でだめだとか。
  これからの証券会社は、そんな感じになるのです。

  なーんだ、株はやらないから関係ないや、って思ってますか?
  ところがそうはいかないんです。証券会社と付き合いはなくても、銀行や保険会社とは
  取り引きがありますよね? このへんも色々変わってしまうんです。細かいことを言うと混乱
  するでしょうから、非常におおざっぱに言うと、金融機関はみんな色々なことをやりだします。
  保険も扱うし、投資信託も売るんです。

  一般的な個人資産の運用方法としては、保険・信託、株式、債権、投資信託と、預貯金が
  あります。多くの日本人には、預貯金以外はギャンブルであり悪いことだ、というイメージが
  ありますよね。つまり銀行に金を預けるだけで他は何もしない、ということです。
  このイメージが、日本人の個人資産1200兆円のうち、56%が預貯金にまわされている理由
  であり、預貯金の比率が高いから、国はこれを保護しようとする政策を取るわけです。
  でもこのイメージは、企業や国にとって有利であるために、意図的に植え付けられたもの
  なのです。あくまで政府の「作戦」です。

  製造業を中心とした経済成長期には、貯金が多い方がいいのです。なぜなら、銀行が
  その預貯金を企業に貸し付け、企業がその金を投資に使えるからです。日本の大手企業が
  「社内預金」という制度を作って、普通より高い金利をつけたのもこのためです。銀行に
  預けて他の会社の投資のために使われるくらいなら、社員の余剰資産(預貯金)は自分の
  会社で使おう、ということです。

  ところがこの、一生懸命働いていれば世の中は右上がりに成長して、貯金も増えて利子も
  つく、という構造はもはや崩壊しつつあります。景気が悪いから貯金しておかなきゃ、と
  いうのが最近の風潮ですが、それではだめなのです。今政府が取ろうとしている「作戦」は、
  世界第二位の個人資産1200億円を、もっと有効に利用して、経済を活性化させようということです。

  さて、ちょっと難しくなりましたね。ここらでもうひとつのキーワード「自己責任」について
  コメントしておきます。
  もちろんビッグバンの時代でも「ごちゃごちゃしたことは苦手だからなあ…」と言って、
  貯金だけにしていてもいいんです。ただしそれは、pokuさんの「自己責任」において選択
  したことであり、それで損しても、誰にも文句は言えないのです。

  着実に貯金してるのに、何で損するの?
  そうですね。貯金=銀行=安全確実というのがこれまでの図式なんですが、これを壊そうと
  いうのが、ビッグバンなのです。pokuさんが知らないうちに、安全だと思っていた銀行が
  リスクの高い運用で失敗するかもしれません。投資信託がブレイクして、他の人の資産が
  どんどん増えて、pokuさんの資産は相対的に目減りするかもしれません。
  でもそれは自己責任なのです。「そんなの知らなかったよー」と言っても、誰も相手にして
  くれないのです。

  最近いくつか銀行がつぶれましたが、お客さんの資産は保護されましたよね? 
  ところが、2001年4月からは、一人当たり1000万円までの預貯金のみは保護されますが、
  それ以外は何の保証もなくなります。つまり、pokuさんが入っている生命保険会社がつぶれても、
  株式を預けていた証券会社がつぶれても、誰も何もしてくれないのです。
  つぶれた会社を選んだpokuさんの自己責任なのです。

  不安になりましたか?
  でも、そんなに心配はいらないと思いますよ。今のところ、金融機関は「知ってる人だけを
  相手する」という手法を取っています。だってそうですよね。よく知らない人に何だか怪しい
  ものを売りつけてたら詐欺ですから。これから何年かのうちに、状況は色々変わってくる
  はずです。お客さん(国民)の知識も付いてきますし、金融機関も分かりやすいアプローチを
  取ってくるでしょう。ですから、pokuさんが「人に先駆けて何とか儲けよう!」と考えているので
  なければ、もう少し静観していていいと思います。

  確実にこれから目にみえる変化としては、色々な金融機関が、色々な商品を出してくると
  いうことです。セールスのアプローチも、これまで以上に真剣なものになってくるでしょう。
  (だって手数料で儲ける構造がなくなっちゃえば、真面目に働かざるを得ないですから)
  何だかわからないから無視する手もありますが、品揃えが増えたことを単純に喜べばいいと
  思いますよ。日本にイタリアンレストランが増えたのは嬉しいですよね? まずい店に当たって
  失敗することもありますが、選択肢が広がることはやっぱりいいことだと思いませんか?
  あせる必要はないですから、じっくりゆっくり話を聞いてみるのがいいと思います。

  万馬 券太郎/KMISI 

  (メロディ) ワンダフォー! 98/07/20 16:28:21



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